横浜国立大学×JICA連携講座

「現場から考える国際開発協力」

​シラバス

【横浜国立大学学生は大学のシラバスを参照ください】

1.授業の目的                                   

国際社会はこれまで、貧困、格差、難民、紛争をはじめとした共通課題に立ち向かってきた。こうした課題は「開発課題」と呼ばれ、とりわけ深刻な状況に直面しているのは、いわゆる開発途上国や新興国である。その解決を支援する国際的な取り組みが「開発協力」であるが、日本をはじめとした先進諸国は、これらの課題に向き合い、より効果的な解決策を提供すべく、ODA(政府開発援助)という開発協力ツールを構築してきた。しかしODAもまた、制約や課題から自由ではなく、その効果や意義をめぐって多様な論争が繰り広げられる一方、実践のなかでその仕組みを改善する取り組みが進められてきた。

「開発協力はどのようにあるべきなのか?」は、 世界の情勢が変化するなかで、常に模索をし続ける必要のある問いといえる。その答えは、学問を援用して客観的に導くことが可能な部分もあるが、一義的には決まらない。なぜなら、援助する側とされる側、便益を受ける人と費用を負担する人など、「誰の立場に立つのか」によって抱えている課題も利害関係も認識も異なり、それゆえ課題解決手段も異なるからである。国際開発協力の現場において実際に起こっている、ステークホルダー間の錯綜した関係への理解なしには、真の課題がどこにあるのかも、その解決手段も見つけることはできない。

本講座は、国際開発協力という事象を多様な「当事者」の視点に立って縦横無尽に捉えることができる「複眼的な視点」を獲得することを目的とするものである。そのための仕掛けとして本講座は、一方的な講義ではなくワークショップの形式をとり、特定の現場において実際に発生している個別のケースを題材として、現場ではどのようなことが起こりうるのか、どこにボトルネックがあるのか、「現場から考える」シミレーションを行う。すなわち、多様な開発課題を抱えた実在の開発途上国のアクターとしてそれぞれの観点から開発課題に取り組んでもらい、外部のリソースを活用して国としてのソリューションを形成してゆくグループワークを中心に展開される実践的な講座となる。

 具体的には、2019年8月の横浜でのTICAD7(アフリカ開発のための東京会議)開催を踏まえ、アフリカ地域にフォーカスを当てる。とりわけアフリカ大湖地域の中心に位置し、国内に開発課題が山積しているなかで、周辺国から大量の難民も受け入れているウガンダをとりあげる。そして、ウガンダの各政府機関の担当者として、日本のODAを活用すべくグループで協力しながら援助の要請書(プロポーザル)を作成するというお題にチャレンジしてもらう。作成された要請書は、実際の国際協力機構(JICA)関係部の職員によって査定され、評価、講評される。なお、要請書を作成するための前提となる知識や情報は、6月と7月に一回ずつ開催される事前勉強会や8月の集中ワークショップにおいても講師陣から共有される。JICAウガンダ事務所とテレビ会議で接続し、現場の生の情報を知る機会も設ける。事前に割り振るグループごとに独自の調査を進めることも奨励する。

 なお本講座は、国際協力銀行(JBIC)および国際協力機構(JICA)において実務経験のある専任教員が、国際開発協力に関する実務経験を生かしつつ、その出身組織たるJICAの全面的な支援によって実現する講座である。

 

2.授業時間外の学習内容                              

本講座の参加者は、8月の集中ワークショップのみならず、6月と7月に実施される事前勉強会への参加も義務づけられる。講座がない期間は、グループごとに独自の学習や準備を進めていくことも必要となり、相当な時間を割くことが求められる。

 

3.履修目標                                     

国際開発協力の現場で起こっている事象を、一元的な視点ではなく多角的な視点から捉えることができるようになり、国際開発協力のあり方をめぐって展開されているイシューに対して自ら判断を下すための軸をもつことができるようになる。

 

4.到達目標                                  

アフリカの開発課題およびODAの仕組みについて、最低限の知識を獲得する。加えて、国際開発協力の現場で起こっている事象を、(少なくともロールプレイで担当した)特定の視点から捉えることができるようになる。

 

5.授業の方法                               

本講座は、一方的な講義ではなくワークショップの形式をとる。アフリカのウガンダをケース国とし、ウガンダの抱える開発課題に、ウガンダ政府の各省の担当者として、それぞれのセクターの観点から取り組み、外部のリソース(ODA)を活用して国としてのソリューションを考案してゆくグループワークを中心としたものとなる。

 

6.教科書

青山和佳・受田宏之・小林誉明編(2017)『開発援助がつくる社会生活-現場からのプロジェクト診断- 改訂版出版社

大学教育出版

*但し、教科書そのものをワークショップのなかで用いるわけではなく、購入は義務ではない。

7. スケジュール

【事前学習会】

第1回 ガイダンス

6月4日(火)16:15-17:45

 

第2回【講義】世界の開発課題を見る眼

6月25(火)16:15-17:45

第3回【講義/発表】アフリカおよびウガンダの開発課題

7月16(火)16:15-17:45

 

【集中ワークショップ】(会場:JICA横浜 会議室1(横浜市中区新港2-3-1))

8月5日(月)10:00-17:45

第4回【発表】ODAの仕組みと日本のODAの特徴

第5回【講義】PCM(プロジェクト・サイクル・マネジメント)手法1

第6回【講義】PCM(プロジェクト・サイクル・マネジメント)手法2

第7回【講義】JICAウガンダ事務所とのTV会議

8月6日(火)10:00-17:45

第8回 グループ会議1
 

第9回 グループ会議2

第10回 全体会議1

第11回 全体会議2

第12回【発表】要請書(プロポーザル)のプレゼンテーション

8月7日(水)10:00-17:45
第13回 ドナー側(JICA)からのフィードバック

第14回 案件形成の実際について解説

第15回 振り返りと全体講評